1. はじめに|「小さな巨人」は日向にとって何だったのか?

「ハイキュー!!」の主人公・日向翔陽にとって、「小さな巨人」はバレーを始めるきっかけとなった憧れの存在です。
彼がバレーボールに情熱を注ぐ理由の一つは、「小柄な選手でもエースになれる」という可能性を信じたからでした。
しかし、物語が進み、日向は「小さな巨人」とついに対面することになります。 ところが、読者の予想とは異なり、日向は 「がっかりしなかった」 のです。
この記事では、日向がなぜ「小さな巨人」にがっかりしなかったのか、その理由を深掘りしながら、彼の成長とバレー観の変化について考察していきます。
2. 「小さな巨人」との対面|38巻の重要シーン
◼ 小さな巨人の正体:宇内天満

日向が幼少期にテレビで見た「小さな巨人」のプレーに憧れ、バレーボールの道を歩み始めたのは物語の冒頭で描かれました。 その伝説的な選手の正体は、烏野高校のOB・宇内天満(うだい てんま) です。
彼は「小さな大エース」と呼ばれ、身長のハンデを技術とスピードで補い、チームを全国へ導いた選手でした。
◼ 宇内天満がバレーを辞めた理由

日向が期待を込めて「今はどのチームでプレーしていますか?」と質問したところ、宇内は意外な答えを返します。 「もうバレーはやっていない」 というのです。
宇内がバレーを辞めた理由として、次のようなことが語られました:
- 「大学でバレー以外にやりたいことができた」
- 「プロチームからのオファーがなかった」
しかし、本音としては、 「全国レベルで戦うと、身長が低いことを補うための技術だけでは通用しない」 という現実に直面したことが大きな要因だったと考えられます。
3. なぜ日向は「がっかりしなかった」のか?

① 「小さな巨人」はあくまで通過点だった
日向にとって、「小さな巨人」は最初の目標ではありましたが、最終的なゴールではありませんでした。 彼がバレーを続けていく中で、「小さな巨人になること」よりも、「自分にしかできないプレースタイルを確立すること」 が重要になっていたのです。
② 「最強の囮」としての自分を見つけた
日向はこれまで数々の強者と戦いながら、自分の武器を模索してきました。 そして影山と共に「最強の囮(おとり)」としてのプレースタイルを確立しました。
その結果、日向は「小さな巨人」にならなくても、自分のやり方でバレーを楽しみ、活躍できることに気づいていたのです。
③ バレーの本質を理解していた
日向は試合を通じて、「バレーは個人ではなくチームスポーツ」であることを実感していました。 「小さな巨人」は日向にとって偉大な存在でしたが、それ以上に、彼はバレーの奥深さと楽しさを知ることができたのです。
4. 影山の「やっとかよ」の意味とは?

日向が「小さな巨人」を見てもがっかりしなかったことに対し、影山は一言こう言いました。
「やっとかよ」
この言葉には、「日向がようやく自分のバレーを見つけた」という意味が込められています。 影山はずっと日向の成長を間近で見ていたため、「小さな巨人」という憧れに縛られず、自分のプレースタイルを確立できたことを感じ取っていたのです。
このシーンは、影山が日向の本質を理解していたからこそ出たセリフであり、二人の絆を象徴する瞬間でもありました。
5. 読者の中には「がっかりした」人も?

「小さな巨人」との対面シーンを読んで、読者の中には「がっかりした」という意見も多く見られました。
その理由として考えられるのは:
- 「小さな巨人」が登場するまでのハードルが高かった
- 伝説の選手として期待しすぎていた
- あっさりとバレーを辞めていたことに驚いた
しかし、これは 読者側が「小さな巨人」を神格化してしまっていた という点も影響しています。 宇内天満もまた普通の人間であり、彼の決断は現実的なものでした。
むしろ、物語の中で彼を「伝説のエース」として持ち上げすぎなかったことが、リアリティのある展開を生んでいるとも言えます。
6. まとめ|「小さな巨人」は憧れではなく通過点

日向翔陽は「小さな巨人」に憧れてバレーを始めましたが、最終的に彼のバレーはそれを超えたものになりました。
- 「小さな巨人になること」よりも、「最強の囮」としてのプレースタイルを確立したことが重要だった
- 日向はすでにバレーの楽しさや奥深さを知っていたため、憧れの人がバレーを辞めていても動じなかった
- 影山の「やっとかよ」は、日向の成長を最も理解していたからこその一言だった
憧れはモチベーションの一つですが、最終的に重要なのは「自分のスタイルを確立すること」 です。 このエピソードは、ただの成長物語ではなく、「目標を持つことの大切さと、そこから自分自身の道を見つけることの意義」を教えてくれます。
ハイキューはただのスポーツ漫画ではなく、こうした深いメッセージ性があるからこそ、多くのファンに愛され続けているのでしょう。
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